以前、フランスではトロンプ・ルイユ(だまし絵)がよく使われることをお話ししましたが、16世紀にだまし絵で皇帝の肖像画を描いたアルチンボルドという画家がいます。ルーブルのグランド・ギャルリーに飾られているその四季の絵(四季の風物を使ってロドルフォ二世の肖像画が描かれている)を観ていますと不思議な感覚にとらわれます。時間の感覚が麻痺するといいますか、これが本当に四百年以上前に描かれたのかという気分になるのです。時間を超越するモダンな印象を受けます。やっとこのごろこういうトロンプ・ルイユの絵が盛んになってきましたがアルチンボルドという画家はどういう次元の時間に生きていたのかという疑問に捉われます。
この本はルーブル美術館の子供用のブティックで見つけました。字よりも絵の方が多く、プラスティックの透明な部分と黒い部分の間に白いランプ状の紙(絵本の最後についているので切り取る)を差込み、どんな生物で肖像画が出来ているか調べましょうというものです。
文明の熟度はこういう遊びがどれだけどういう部分に使われているかということでも測れるのではないでしょうか。
(ガイド) |
本名:「J’observe」(観察する)
ガリマール出版
Boutiques du Louvre
ルーブル美術館内ブティック |