朝比奈 誼先生のフランス語にまつわる素敵なお話




セ・サンパ
感じいい!親切!ちょっと贅沢!「セ・サンパ」とパリジャンは表現します。そんなサンパなパリを、ほぼ毎週更新でご紹介しています。
サッカー星
2006.6エッセイ・リストbacknext

Olympiastadion
サッカーのワールドカップla Coupe du monde(la Mondiale) de footballが開幕した。ヒトラーが国威発揚のために建てたベルリンのオリンピック・スタジアムOlympiastadionで決勝戦la finaleが行われるのは7月9日。とすれば、この文章がWeb サイトに載る頃もまだ激戦がつづいていると思うので、今回はサッカー特集とする。
  日本ではサッカー一色となり、うっかり冷たい顔を見せようものなら袋叩きにあいそうだが、Le monde紙によればフランスでも大騒ぎに変わりはなさそうだ。ただ、お国柄か、peste émotionnelle「感情のペスト」(La Tyrannie sportive『スポーツの専横』の著者J-M. Brohn氏の言)として、民衆に対する一種の麻薬だと警告する、こんな醒めた意見もあるようだ。その延長上にあるのが、同紙の出す月刊Le Monde diplomatiqueトップの「サッカー星」Planète footballと題する記事で、この騒動を「隠れ蓑」paraventにして、ほっと一息ついている向きもあろうと皮肉り、シラク大統領、ド・ヴィルパン首相の名をあげている。しかしフランスだけとはかぎらず、どこの国にも、同類は何人もいるにちがいない。
  こんな風に水をさす空気が一方にあるというのは社会がそれだけ健全な証拠といえるかもしれぬが、他方で、出場するフランス代表が今ひとつ強くないことも影響していよう。ただ、これまた同誌の受け売りだが、ワールドカップはもとより、ファンの間ではなじみのクラブ対抗ヨーロッパ・カップla Coupe d’Europe des clubsも国別対抗ヨーロッパ・カップla Coupe d’Europe des nationsも発起人はフランス人らしい。その裏には当然のことながら、広告収入・スター選手の移籍料など莫大な利益がからんでいるのだろう。そういえば、FIFA(la Fédération internationale de football association)はテレビ放映権料とライセンス料として最低でも1億1720万ユーロを稼ぐ由。その蔭で、お祭り騒ぎの主催国ドイツでは、マスコット人形ゴレオ6世の製造元が破産したとか、ホテルが大量の予約取り消しで泣いているとか、いう話も聞く。
  フランス人の真似をして水をさす(思えば、グルノーブルの冬季五輪のとき、イギリス人が冷淡だとフランス紙が噛みつき、メダルがゼロのせいだろうが、隣国のお祭りにたいしては失礼だと批判したものだった。フランスがこの時のイギリスの真似をしているとは思いたくないし、成績次第でどんな展開になるか読めないから、口を慎んでおく)のはこのくらいにして、フランス語の話に移る。
  さて、サッカーは古代からあったらしいが、近代競技としての発祥の地は英国のパブリック・スクールとされる。したがって競技につかわれるのはもっぱら英語だが、日本では「蹴球」(ラグビーと区別するために、ア式蹴球と呼んだ時期もあった)のように翻訳する手間をはぶいて、カタカナが幅をきかしている。そのため、わざわざ英語を出す必要もないのだが、いつも通り、下に併記することにする。ただし、今度ばかりはイギリスに敬意を表して英・仏の順とする。なお、カッコ内のmfは名詞の性を示す。

◆ グランド 
グランド(競技場)  ground terrain(m )[ de jeu](縦100~120m/ 横45~90m)
ゴール goal but (m) (高さ2.44m / 幅7.32m)
ボール* ball ballon(m )(直径22~23cm /重さ396~453g/ 内圧1kg/cm)
ゴールポスト(枠) goalpost poteau( m )de but
クロスバー crossbar barre ( f ) transversale
センターサークル center circle cercle(rond)(m) central (直径9.15m)
センターライン center line ligne( f ) médiane
ゴールライン goal line ligne de but
タッチライン touchline ligne de touche
ペナルテイ・エリア penalty area surface( f ) de réparation
ゴール・エリア goal area surface de but

◆  スタッフ
ゴールキーパー goalkeeper gardien ( m ) de but,
バック back arrière ( m )
ハーフ half demi ( m )
フォワード forward avant ( m )
主審 referee arbitre ( m )
線審 linesman juge ( m ) de touche

◆ ゲーム
キックオフ kickoff coup ( m ) d’envoi
前(後)半 the first (second) half première (seconde) mi-temps ( f )
ハーフタイム half time mi-temps
コーナーキック corner kick corner ( m )
タッチ touch touche ( f )
パス pass passe ( f )
ドリブル dribble dribble ( m )
シュート shoot tir ( m )
ヘデイング heading tir de la tête
スローイン throw-in touche
オフサイド offside hors-jeu ( m )
フリーキック free kick coup franc
ファウル foul faute ( f )
ペナルテイ・キック penalty kick penalty ( m )
PK 合戦 penalty shoot-out tirs au but
レッド(イエロー)カード red (yellow) card carton ( m ) rouge (jaune)
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