パリで活躍する素敵な方々にインタビューし、それぞれの「モンパリ」をお聞きします。



セ・サンパ
感じいい!親切!ちょっと贅沢!「セ・サンパ」とパリジャンは表現します。そんなサンパなパリを、ほぼ毎週更新でご紹介しています。
日仏交流の最前線で 
その3 パリでの新生活について 2006.02
 長年、日本で日欧の国際舞台で活躍してこられた富永さん。パリに居を移し、1年半前からパリ商工会議所で新たに日仏交流に関わる仕事に就かれました。日本でお仕事されていた時代の面白いエピソードとパリでの新生活についてお話をお聞きしました。
富永 典子さん
日本の大学を卒業した後、フランス アンジェにて仏語留学。
帰国後、在日フランス大使館経済部、駐日欧州委員会代表部 (EU)勤務
2001年 日産 カルロス・ゴーン氏の秘書として勤務
2004年 パリ商工会議所国際局日本課で日仏経済交流の仕事に就く
 ■ Interview つづき
6、 そして、ご主人の転勤でパリに移られたのですね。一生懸命にやっておられたお仕事を辞めるのに未練はなかったのですか?
  フランスの銀行に勤める主人とは、EU職員の時代に知り合いました。最初の2年の日仏間の遠距離恋愛の末、主人が日本駐在になったので、日本で結婚生活をしていたのですが、2003年にパリに戻る辞令がでてしまいました。迷いましたが、3年近くゴーンさんのそばで仕事をさせていただけたのも、家族つまり主人の支えがあったからこそ、と思っております。一度決心すると、未練はありません。しかも、ゴーンさんから”家族は何よりも大切と”といわれたときには、涙が出る思いでした。パリで暮らすことに関しては、若い頃抱くような憧れはありませんでしたが、これも、人生における一つの転機だ、と淡々と受け止めたように覚えております。

ブルスドコメルスの裏手はレアール。公園の並木道のまっすぐ先にはポンピドーセンターが見える。
7、 実際の生活の中で、日本とフランスの違い、ギャップなどお感じになることは ありますか?そして、どのようにパリの生活を満喫しておられますか?
  パリは観光で訪れるには、恐らく世界で一番美しい街だと思います。歴史と文化の深さがそのまま目に飛び込んできて。ただ、毎日一生懸命生きる場所としては、東京もパリも或いは他の都市でも変わらないかもしれません。自分がどのように生きるかが重要になってくるわけですから。幼い頃絵描きになりたい夢があり、ずっと歴史に興味持っており、ある意味ではパリの新生活も楽しみでした。しかし実際は、日本から持ってきた絵の道具も開いていないのが現状。それは、もったいないことですね。仕事場の近くがルーブル美術館なので、新年からはまずは足元の美術館から開拓していけたら、と思っております。
 日常生活においては、日本では全てが便利過ぎて、コンビニ、宅急便、地下鉄の案内放送・・・至れりつくせりの社会で甘やかされていた自分に気がつきました。日本の便利さは、世界でも誇りうる唯一のものだと思います。ただ自国を一歩出ると、自分は外国人ですから、日本にはこれがあるのに、などという日本を中心に持ってくる発想を根本から変えなければいけないですよね。郷に入っては郷に従え、で。ストがあっても、長期休暇で仕事が滞っても、それはそれ。フランス人は強いです。自己主張にしろ、生きる力にしろ。文句をしょっちゅう言っていますが、それは、現状に甘んじず、もっとよくしたい、という向上心の表れなのでは、と。見習うべきところをこうして発見し続けることができのは、幸せなことだと思います。
フランスの生活を楽しむといえば、毎土曜日には市場に出かけ、1週間分の日常の食料や週末の友人たちを招くための食材を買うのが楽しみの一つです。なじみの店で弾む会話、すれ違う常連さん。恐らく日本では買い物をなさったことの無いであろう駐在員の方々が奥様と一緒にお野菜や魚を吟味なさっている場面に遭遇すると、とても心が温かくなりますし、そこで会話もはずみます。我々の暮らした東京でも、そういう地域に住んでおりましたが、我々夫婦がいつも捜し求めているものは、パリであろうと東京であろうとどこであろうと、人と人との暖かい交流があるところ、だと思います。それが無いところでは、自分たちで作り出す努力すればよいわけですよね。

 ショートカットですらっと長身、キャリアウーマンを絵に描いたような美女。しかし、笑顔がかわいく茶目っ気たっぷりの楽しいお話しに、ついついインタビューの本題を忘れそうになりました。「周りの方に対する感謝と、謙虚な気持ちをいつも忘れないように心がけております。忘れた瞬間、決まって“へま”をしているので、肝に銘じる毎日です。」あくまでも謙虚で自然体の姿勢が、周りの方々の理解を得てこれからもまっすぐに進んでいかれることでしょう。そう、パリ流の一生懸命さで。
「朝出勤する人々の様子を眺めながら、新聞を広げカフェでゆっくりクロワッサン、というパリ風のおしゃれ。私はそれを東京で実現しました。先日一時帰国したとき。要は、仕事に追われずに、少し観光も兼ねて自分の国を訪れると、今まで知らなかった、ゆっくりとした時の流れを発見できる。自分の心の持ち様で、自分の国の再発見です。」
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