元大使夫人で、執筆家でもあるマダム・カトリーヌが紹介する
上質で、個性的なとっておきのパリ。




セ・サンパ
感じいい!親切!ちょっと贅沢!「セ・サンパ」とパリジャンは表現します。そんなサンパなパリを、ほぼ毎週更新でご紹介しています。
インタビュー 2002.10 back|next
カトリーヌの処女小説「Emilie Java 1904/ジャヴァのエミリー、1904(邦題未定)」。20世紀初頭の激動のアジアを舞台に、ヒロインのエミリーの波瀾万丈の人生を描ききった、大型時代ロマンス小説。11月の出版を目前に控え、カトリーヌはプロモーションや、各プレスの取材をアクティブにこなし、ハイテンション気味の毎日。

 とにかくお忙しい方である。この半月位の間に、パリ、ニース、カンヌ、ブレア島(ブルターニュ地方にある高級別荘地。エコロジーへの配慮/規制により、島には車が二台しかない。)、シンガポール、バンコク、マレーシア、とエネルギッシュに飛び回る。「一か所にじっとしていられない性分なの。連れ合いのマークの仕事がフランス大使だったから、結果私も旅が続く生活に。今までに住んだ国だって、ワシントン、中国、ラオス、ヴェトナム、インドネシア、タイ、台湾、インドでしょう。人生のかなりの期間をアジアの国々で過ごしたことになります。」パリのブルジョワな16区で生まれ育ったバックグランドからして国際的だ。「母親がロシア人、父親がオランダ人です。私の息子のジルはワシントンで生まれたので、彼の第一母国語は英語でした。彼の祖父母がフランス語で孫と話ができない、といつも嘆いていましたっけ(笑)。」

  ここ最近のカトリーヌはいつにもまして多忙である。今までのジャーナリズムの仕事に加えて、長年の念願だった、自分の小説を発表したばかりである。「11月の出版予定です。450ページ書き上げました。しばらくは、もう、コンピューターのそばに寄りたくなかったくらい。でもね、休暇の為にブレア島に行ったのに、あそこの静かな海を眺めていたら、もう次の小説のアイディアがでてきて、早速書きはじめました。」「次作は植民地時代のマカオが舞台になります。資料集めに、夏のバカンスはシンガポールに行くことにしました。あそこにはアジアの歴史書が充実したとっても素晴らしい図書館があるんです。」「いつか日本語でも出版ができるといいんだけれど、私日本語はスコシダケシカワカラナイ。」何カ国語を話されるのですか?「フランス語でしょう、英語、スペイン語、ロシア語、マレーシア語、中国語とタイ語が少しだけ。」

 カトリーヌのサロンには、彼女の話す外国語の数より多くの様々な国籍を持つ人々が集う。「友人には本当に恵まれてきました。友人に出会うことによって私の世界も広がります。」「パリにいながら色々な国の人たちに会うことができる。その点でパリは本当にエキサイティング!」こう話をしながらも、チェコ人の彫刻家から、タイ人の留学生から、その日の夜のディナーの出席を告げる電話がかかる。今夜のメニューは何ですか?「私の家ではディナーにアジア風のお料理を楽しんでいただくことが多いの。もちろん私はプロの料理人ではないので、カトリーヌ風にアレンジしたものになりますが。」

 パリには彼女のような真の意味でのコスモポリタンが少なくない。カトリーヌの中ではラオスやヴェトナムの生活のエッセンスが、彼女なりのセンスでパリ風にミックスされている、というわけである。それは彼女のアパートの中のインテリアを見ていただければすぐわかる。ノートルダムの脇に佇む隠れ家風のデュプッレクスタイプのアパルトマンの中は、カトリーヌの自分史を語るような家具やオブジェでいっぱいである。旅がちな女主人に忠実であったであろうそれらのものたちは、世界をまたにかけたカトリーヌの旅の思い出を静かに語っている。

 ところで、特に日本の女性にはどんなパリを見てほしいですか?「何事も始めに人、ありきです。フランス人の生活、特に女性の生活を見てほしい。良きにしろ、悪しきにしろ、日本とは大分違って見えると思います。」「子供やお年寄りの表情もよく見てほしい。一般に弱者となってしまいがちな人達が、どのように暮らせるかにその国の成熟度の一つの基準が見えると思います。」こんなところに、女性として、ジャーナリストとして、様々な国で生きてきた彼女ならではの視点を感じる。

 これからの連載エッセイではカトリーヌ風のパリの楽しみ方も紹介してもらう。「とても名誉なことね(笑)。パリはその人の楽しみ方に応じてとてもパーソナルな街になる。まだあまり知られていないプチミュゼの中庭でブランチを楽しんだり、雪の朝のサンマルタン運河の美しさといったら!」雪の朝のパリを見る為には少しばかりの運も必要だが、カトリーヌだけのパリを知るには今後モンパリに送られるエッセイが見逃せない!

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