パリ大好き人間の独り言、きたはらちづこがこの街への想いを語ります。



セ・サンパ
感じいい!親切!ちょっと贅沢!「セ・サンパ」とパリジャンは表現します。そんなサンパなパリを、ほぼ毎週更新でご紹介しています。
第11回 マロニエの棲み家(続き) 2003.12 エッセイ・リストbacknext
  鳥が格別好きというわけではない。むしろ、他の動物に比べれば順位はかなり下のほう。しかし、身近な生き物に興味を持ってしまうのは、どうも私の習性らしい。

 東京にはカラスが多い。特に我が家のあたりは適度な緑があり、住宅地ということで食糧も豊富らしく、いつも相当の数を見かけた。その鳴き声も相当なもので、まあ一言で言えば「うるさい」のだが、かなり特徴のある1羽のカラスの声を聞き分けるようになってから、私は彼(なぜか男!)を「しわがれ声のあーちゃん」と命名した。姿ははっきりはわからないが。

 我が家の庭の山桜に巣を作られたこともある。これは、実は、嵐の日に大きな声で「カァカァ」と鳴きながらも桜の木から離れようとしなかった黒い一羽を見てから(「しわがれ声のあーちゃん」ではない)、後になって気がついたことであるが。
 巣は木の枝とプラスティックの細いハンガー(そう、クリーニング店でくれるあの、ピンクとか、ブルーの)を巧みに組み合わせた、見事な巣だった。植木屋さんが「カラスにも困ったものですよね。はずしてしまいましょう。」と言った時、ちょっぴり残念な気がした。


鳩zzzzzzzz
 さて、ヌイイーの我が家の鳩、彼女は夫と私がない知恵をしぼって、「ふ卵期間は何日か」「その間彼女は何を食べているのか」を議論していたのを知ってか知らずか、1週間ほどたったある日、巣を降りた。
 その日はなにか珍しい別の小鳥も多い日で、「チーチー」というような声が聞こえて、「すわ誕生か」と思ったが、ぬか喜びであった。下の枝に止まっている彼女を見たが、巣に戻ることもほとんどなく、夫と私は「子育てを放棄するなんてけしからん」などと怒っていたが、3日もたつと「やっぱり、生まれなかったんだ・・・」とあきらめた。その後は、姿もあまり見かけなくなった。時折巣の上に乗る鳩もいたが、すぐに飛び立ってしまうので、彼女かどうかはよく分からなかった。

 6週間余りが過ぎて、彼女が戻ってきた時の嬉しさはたとえようがない。もちろん、これはたまたま気がついたというだけで、忙しさにかまけて、よく観察しなかったからで、彼女はいつもこのマロニエにいたのかもしれない。葉っぱが半分以上散ってしまい、枝ぶりが前より見えるようになったから気がついた、というだけかもしれない。でも、日曜の朝、邪魔者を追い出してから30分ほど巣の周りで跳ねていた(小枝を補うようなこともしていた)彼女を見ていたら、とても心がなごんだ。「やっぱり名前をつけなきゃ」と思った。

 パリ市では増え続ける鳩がもたらす「公害」対策として、鳩に餌をやってはいけないという条例を定めているらしい。しかし、公園などではやはり幼子たちの人気者だ。そばに来る鳩をつかまえようと追いかける。鳩のほうも、赤ちゃんの後を歩けばビスケットのおこぼれに与れることを知っているのかもしれない。それに、本当にいつでも、どこにでも、車道にも、歩道にも、バス停にも、必ず彼らはやって来る。
 隣家では、我が家と同じマロニエの木の、向こう側の窓辺に新鮮な水を入れた小皿やパンくずを置いているから、日よけの桟にはいつも鳩が数羽並んでいるけれど、ヌイイー市だから許されているのかどうか・・・それは知らない。


鳩とひなたぼっこ

筆者プロフィールbacknext

【net@nihon.sa】
Copyright (c)2002 NET@NIHON.All Rights Reserved
info@mon-paris.info