008
食料品屋の息子
いよいよ始まる毎年恒例のフランス映画祭。一般的に敬遠されがちなクラッシク映画や芸術系映画といった、いわゆる「よそ行きの映画」ではない、いわば「等身大」かつ「現在(いま)」のフランス映画を見ることが出来る、数少ないチャンスですよね。ただでさえハリウッド映画に比べて目にする機会の少ないフランス映画。ディープなシネフィルのみならず、普通の映画好きの人にとってもこのフランス映画祭2008、楽しみなイベントかと思います。
そこで、「せっかくのチャンス、でも全部見るには時間が足りない、だからなるべく良い作品を見たい」と思っている人のために、及ばずながら、お勧めの一本をここで御紹介したいと思います。
上映が予定されている素敵な作品の数々から、今回お勧めするのはEric Guirado監督の『食料品屋の息子』。都会生活に馴れた一人の若者が、父親から一時的に引き継いだ食料品の移動販売という仕事を通して、山村で穏やかに暮らす人々やその生活に触れる、というお話。
最初のうちこそは中々上手くはいかないものの、一緒に連れ立った女友達の助けや、愉快な常連のお客さんたちとの心の交流を通して、主人公は徐々に自分を見つめなおしていくことになります。
ストーリーは確かに地味ですが、どうしてどうして。実に侮れない、「佳作」と呼ぶにふさわしい作品です。個人的には、作品全体に漂う「ほのぼの」感、ほんわかとした雰囲気が気に入っております。特にお勧めは、主人公の運転する行商トラックが高原の山々を背に走る、本当に何気ない風景シーン。ややもすると観光用の宣伝映画かと勘違いしてしまう程、アルプスの自然が全編にわたってちりばめられています。
余談ではありますが、最後のエンドロールにもクレジットされているローヌ=アルプ県の観光局は、観光宣伝も兼ねてか、最近積極的に撮影協力をしている様で、本当によくその名前を目にしますよ。
投稿者=
よ
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