文化の都パリは健在!様々な文化が同居する
パリはミックスカルチャーのメルティングスポット。




セ・サンパ
感じいい!親切!ちょっと贅沢!「セ・サンパ」とパリジャンは表現します。そんなサンパなパリを、ほぼ毎週更新でご紹介しています。
  
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パリの音楽シーン 2007年6月〜9月 (2007.7)
この夏は、数奇な運命のダリダ(Dalida)に酔う

  パリの音楽シーンの流行は、世界の流行と同じように、ラップ。特にフランスでは、パリ郊外の、Quartier sensibleと呼ばれる移民が多い地域の若者の心の叫びが流行しています。2006年の音楽大賞も、ラップでしたし、、、でも、ラップというよりは、詩の朗読に聞こえるところは、さすが、フランスらしい感じ。
 ですが、私のこの夏のお勧めは、DARIDA(ダリダ)。日本でも、「18歳の彼(Il venait d'avoir 18 ans)」や「歌い続けて(Mourir sur sc?ne)」、隣人だったアラン・ドロンとデュエットした「甘いささやき(Paroles,paroles)」でとても有名ですよね。今年は、ダリダがなくなってから20周年に当たり、現在、パリ市庁舎(h?tel de ville)では、ダリダ展が催されています。ダリダがステージで着ていた数々の衣装や、貴重な映像を見ることができます。また、いくつかのブースで、ダリダの映像に合わせて、カラオケが楽しめる、というとっても日本風な?企画もあって、入場無料で楽しめます。また、テレビでも、彼女の一生を描いたドラマが放映されたり、特集番組が組まれたり、画面からはひっきりなしに、ダリダの映像が流れていたので、そのおかげで、ダリダについて多くを知ることができました。それにしても、ダリダの人生は半端じゃない!壮絶な人生をおくったダリダ。
DALIDAダリダ、本名ヨランダ・ジリオッティは、エジプト・カイロ生まれのイタリア人。幼い時に目を患って視力が悪く、夜、眠る時も見えなくなる恐れのため、常に電気をつけっぱなしにしていたという。青春期の彼女は、生来の美貌で、「ミス・エジプト」に選ばれ、憧れていた映画に何本か出演しますが、さらに世界で活躍したい、とパリに上京。しかし、ヨーロッパの花の都パリでは、そんなに簡単に女優の仕事にありつけません。友人の勧めで、とにかく食べるために、歌のオーディションを受けるダリダ。キャバレーで歌っていたところを、オランピアの支配人、ブルーノ・コカトリックスの目に留まり、また、ラジオ番組、ヨーロッパ1のプロデューサーの目に留まり、彼女にぴったりのイメージの曲「バンビーノ(Bambino)」でデビュー。スターにのし上がって行きます。「バンビーノ」「コメ・プリマ」「ゴンドリエ(Gondolier)」「ジジアモロッソ(Gigi l'amoroso)」数々のヒット曲を放つダリダ。70年代のイエイエのブームにも乗り、また、ディスコバージョンのアレンジで往年の自分のヒット曲を、当時の流行のリズムでリバイバルさせ、常に新しい取り組みで生き残り、常に第一線で活躍するダリダ。


 しかし、その影で、彼女の私生活は、必ずしも幸福とは言えない。愛した男性が3人とも自殺してしまう。どんな愛の深さなのだろうか、、、。愛する人と添い遂げることを、そして愛する人の子供を生むことを切望していたダリダ。そんな当たり前な望みも、スターである彼女には叶えがたい夢だった。「スターであること」と、「一人の女性としての愛」は、ダリダの場合、彼女のあまりのスター性のため、両立できなかった。どんなに活躍していても、悲しみの影が付き纏うダリダ。彼女をスターに育て上げた一人目の夫リュシアンは、彼女に、母になる幸せではなく、スターとしての成功を与えることを選んでしまった。彼女が夢中になった、若き新人アーティスト、イタリア人のルイジ・テンコは、彼女と自分とのスター性の違い、格差に押しつぶされ、死を選んでしまった。そのショックに打ちのめされたダリダも、二人の思い出のホテルで自らの命を絶とうとするが、幸いにも、5日間の死の淵からこの世に舞い戻る。「もう歌えない」というダリダに、彼女の歌のテープを聴いたインドの高層は、「歌いなさい。これは、あなたの宿命だ」と告げる。

 彼女のような宿命、運命を持って生まれてきた人は何人いるだろうか?仏人男性歌手が、年を取ればとるほど味が出ていい顔になっていくのに比べ、女性歌手は、若い頃は綺麗だったのに、今は、妖怪か、、、と思う人も多いが、ダリダは美しい。年を取れば取るほど、男性との恋愛が彼女を磨き、苦しめ、その表情に何とも言えない深い味わいを作っている。そして、驚くべきプロポーションの良さ。今回、いろんなDVDや資料を見て、つくづく彼女の努力の大きさを知った。彼女のプロ根性、ステージ、コンサートにかける意気込みは素晴らしいものがある。しかし、3人目の自殺者の知らせに、さすがの彼女も徹底的に打ちのめされたようだ。「人生は、私には耐えられない。許して、、、」と書置きを残して、ダリダが睡眠薬自殺をしたのが、5月3日。初めて、ベッドサイドの電気を消して。まるで、人生の灯りを消すように、、、、。

 パリ市庁舎の「ダリダ展」では、大画面の中で、ルイジ・テンコの歌「チャオ・アモーレ・チャオ」を絶唱するダリダの歌が、私の心を震わせた。こんなにも、ダリダの歌が素晴らしいとは知らなかった。彼女の壮絶な人生を知ってからその歌を聴くと、更に味わい深い歌の数々。ダリダ展のパンフレットの最後にはこう書いてある。


「私は、人生、それ自体をあまり良く見ないで、渡ってきた。
 私は、私の人生が何なのかを知っている。
私の夫、それは大衆。歌は、私の子供達。」<ダリダ>
 

◆ ◆ Ayumi のパリ2007年7月〜のおすすめコンサート ◆ ◆
  〜9月
パリ市庁舎にて、ダリダ展(入場無料)
 
  8/7〜火〜土
20時〜

コメディ・レプュブリックにて、「L'EMPIAFEE」
<Comedie Republique> 1,bd Saint-Martin 75011 Paris
Metro :Repubrique

 
  7/6〜8 ベルシーにて、ル・ロワ・ソレイユのミュージカル
<P.O.P BERCY> 75012 Paris  METRO:Bercy
 
  7/9〜11 オランピアにて、ノラ・ジョーンズのコンサート
<OLYMPIA> 28、bd des Capucines 75009 Paris
 
  7/17〜29 オランピアにて、ピアフ・ジュ・テームのスペクタクル
<OLYMPIA> 28、bd des Capucines 75009 Paris
 
  9/13 ラ・シガールにて、バンジャマン・ビオレのコンサート
<CIGALE> 120、bd de Rochechouart 75018 Paris
 
  9/14〜17 オランピアにて、ミシェル・サルドーのコンサート
<OLYMPIA> 28、bd des Capucines 75009 Paris
 
  9/21

オランピアにて、シェイラのコンサート
<OLYMPIA> 28、bd des Capucines 75009 Paris

 
  9/28〜30 パレ・デ・コングレにて、ダニー・ブリヨンのコンサート。
<Palais des Congres> 75012 Paris  METRO:Bercy
 
       
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