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2007.06 |
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ヌーヴォー・レアリスムとパリの街 〜グラン・パレ「Le Nouveau Realisme」展〜 |
1950〜60年代は、ネオ・ダダ、ポップアート、ジャンクアート、フルクサスといった、戦後の大衆消費産業社会を象徴する芸術運動が世界中で起こった時代です。フランスでは1960年に芸術評論家ピエール・レスタニーの宣言によってヌーヴォー・レアリスムが始まりました。時代状況をリアルに表現することがモットーであり、大量生産された日用品や産業素材、日常そのもの、廃材をもモチーフとしました。またパフォーマンスやアートイベントの形も多くとられました。この運動の中にいたのは、クライン、ティンゲリー、セザール、アルマン、クリスト、ニキ、ミンモなどなど多彩なメンバーで、題材も表現方法も実に多様でした。
さて、そんなヌーヴォー・レアリストたちの作品と実際に出会えるのがパリの街。今回の企画展でも重要な位置にいるふたつのアートが身近にあります。 パリ郊外の新市街ラ・デファンス、その中心となるグランド・アルシュ(新凱旋門)に向かって右手方向に6mの巨大な親指がそびえ立っています。これはセザールが1988年に制作した型取り彫刻で、その名も「Pouce(プス)=親指」。Cesar Baldaccini セザール・バルダッチーニ(1921〜1998)はマルセイユ生まれの彫刻・造形家で、映画賞セザールのトロフィー制作者でもあります。自動車などをキューブ状にクラッシュしたコンプレッション<圧縮>シリーズで、ヌーヴォー・レアリスムの代表的存在となりました。その後、圧縮と真逆をいく「親指」のように膨張し巨大化するシリーズ、エクスパンション<拡張>にも取り組みました。セザールはありきたりの産業が氾濫する物質社会の在り方を違った角度から見せるアートを展開しましたが、素材そのものへの強い興味があり、質感、視覚効果の追究を重要としました。なお今回グラン・パレに展示されているのが、1965年に作られた1,85mのオリジナル「親指」です。 場所を移してポンピドゥ・センター横、ストラヴィンスキー広場の噴水のユーモラスな造形は、1982年のニキとティンゲリー(ふたりは1971年に結婚)の合作品です。パリ生まれのNiki de Saint Phalle ニキ・ド・サン・ファル(1930〜2002)は、3才からアメリカで生活し、ヴォーグやエルのモデルをつとめ22才でパリに戻りました。特に美術の勉強をしたわけではなかったニキが造形の世界に入ったきっかけは、父親から性的暴力を受けた影響で精神を病み、療養のために絵を描き始めたことでした。1961年に「射撃」と題した破壊的なパフォーマンス絵画でヌーヴォー・レアリスムのメンバーとなりましたが、ニキを象徴する作風としては今回のエクスポジションの広告マスコットや噴水にも見られる<ナナ・シリーズ>です。カラフルに色付けしたデップリふくよか体型の女性像彫刻は、世界各地に設置されています。日本では那須高原にニキ美術館があります(http://www.niki-museum.jp/)。
エクスポジションを見た後でこれらの造形を街の風景の中で目にすると、芸術運動が盛り上がった当時の空気をちょっぴり感じられると同時に、芸術の都と呼ばれるパリの心髄に出会える気がします。
Le Nouveau Realisme
7月2日まで
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Galeries nationales du Grand Palais グラン・パレ ナショナルギャラリー
3, avenue du General Eisenhower 75008
入口;Entree Square Jean Perrin
TEL;01 44 13 17 17
www.rmn.fr/galeriesnationalesdugrandpalais
開館時間;10h〜20h(水曜は22hまで)
休館日;火曜
入館料;一般 10ユーロ、割引 8ユーロ(13〜25歳)
予約;www.rmn.fr www.fnac.com www.ticketnet.fr www.digitick.com
アクセス;メトロ 1・13番線 Champs-Elysees-Clemenceau(シャンゼリゼ クレマンソー)
1・9番線 Franklin-Roosevelt(フランクラン ルーズヴェルト)
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