フランスでは「新たに発見されたアーティスト」、ベックマン。
今回の特別展は150点に及ぶ作品が展示される大規模なもの。
Centre national d'art
et de culture Georges Pompidou
Place George Pompidou 75004 Paris
TEL:01 44 78 42 16
2003年1月6日まで
開館時間 11時から21時まで
(火曜日休館) |
URL :
http://www.cnac-gp.fr/... |
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先鋭であったがゆえにナチスドイツにより弾圧、後にアメリカ移住を余儀なくされる。歴史の波に翻弄されたドイツ人アーティストは多い。マックス・ベックマンもそんなアーティストのリストに名を連ねた一人である。
ドイツ表現主義の画家としてのベックマンは、2つの大戦を時代背景に、社会的、思想的なモチーフを寓話風に描いた作風で知られる。社会問題や社会の底辺で生きる人々に目を向け、アートの領域を拡大しながらより新たな表現法(激しい筆のタッチ、歪んだ空間構成など)を獲得、先駆的な作風をより昇華させていった画家である。
しかし時代はこの先駆者を翻弄する。1930年、ナチスに迫害されオランダに移住、後にはアメリカに亡命。そして、アーティストとして確立された揺るぎない彼の名声にフランスは長い間冷たかった。フランスにおける最近までの彼に対する不当に低い評価に、フランスの隣国ドイツへの近親憎悪に近い感情が作用していることは想像に難くない。今回のポンピドゥー・センターにおける、マックス・ベックマンの大回顧展のサブタイトル「歴史への対岐」に、そんなフランスとドイツの複雑な心理を感じるのは私だけではないだろう。
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