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アニエス・ヴァルダの新作、「落穂拾い」。パリの市場で落ちているものを拾う人々からインスピレーションを得、そこにミレーの名画「落穂拾い」のイメージが重なり、アニエスの旅がスタートします。「他にも落穂拾いをする人々がいるのだろうか?」カメラ片手に、"現代の落穂拾い"を訪ねる旅。アニエスはさすらいます。旅の途中で様々な人々との出会いあり、豊かなエピソードが生まれます。ボクシングローブを首にぶらさげたイヌ、食事はすべて"落穂拾い"、外国人にボランティアで読み書きを教えている、博士課程を出ている青年などなど。一度捨てられたものをだれが拾うの?他人の捨てたもので人は生きていけるの?アニエスのカメラは時にウッティに、時に感動的にこれらの人々に接していきます。インタビューでもなくて、撮影でもなくて、豊かな出会いに彩られたアニエスの旅の記録。映画を見終えた後、雑誌で読んだアニエスのインタビューの中の一文が、とても新鮮に思い出されました。「この映画を作って、ドキュメンタリーとは謙虚さを学ぶ一つの訓練だという私の考えは、ますます強いものになった。」
やさしい気持ちになれる、素敵な映画との出会いでした。 |