フランスが世界に誇る彫刻界の巨匠、オーギュスト・ロダン(1840~1917)。1880年以降ロダンは、この時代にヨーロッパ美術界で流行したジャポニスムに興味を持つようになり、インスピレーションを受けたドローイングや彫刻を残しています。とりわけ1908年から1912年にかけては日本美術品のコレクションに集中していました。仏陀像や根付、歌川豊国、広重、国芳、鈴木春信らの錦絵、手工捺染の型紙。背景に浮世絵を散りばめた絵画、ゴッホの「タンギー爺さん」(ロダンが買い上げた作品)。1910年の70歳のお祝いに、日本の近代文学流派・白樺派から贈られた30枚の浮世絵。今回の企画展ではこれらのコレクションを一堂に紹介しています。
そして注目は、1902年に女優としてヨーロッパにやって来た芸者の花子をモデルに制作した、たくさんのマスクやデッサンです。激しい感情をもって演じ、舞う、花子の
“動の一瞬” を捉えた、ロダンの魂まで伝わってくる力強く繊細なシリーズとなっています。
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企画展示室
「Hanako, masque」1907, Rodin
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