ピカソ、コクトー、マックス・ジャコブら芸術家たちも、ピガールやモンマルトル、モンパルナスなどのダンスホールやパプで夜な夜な狂騒し、酔い痴れた時代でした。「ダンシング」というタイトルの展示スペースでは、ナイトライフを楽しむ女性たちが身を包んだカクテルドレスやコートが紹介されています。胸や腰を強調しない、ストンと真っ直ぐ落ちたラインでローウエストのドレスには、ラメ糸や光沢レースの縁飾りを使い、サテンやモスリン生地にビーズや宝石、羽飾りを刺繍してキラキラと華やかな装飾が施されました。また、人口宝石やビーズをちりばめたハイヒールやティアラなど、きらびやかなアクセサリー類も並び、おしゃれをしてミュージックホールやサプライズパーティに出かけていった女性たちの様子が鮮やかに想像できるようになっています。
「フォーマルな日常スタイル」として展示されているものは、シンプルで上品、快適な着心地を追い求めた、普段着の新しい形です。エレガントな日傘、刺繍の帽子やバッグの他にも、“ギャルソンヌ”
と呼ばれたスタイルも紹介されています。これはスポーティなセーター、ニットのアンサンブル、パジャマなどの着やすさが受け、女性たちが男っぽい格好をしたものです。短いスカートも流行ったことで、ストッキングや靴のデザインも凝ったものが出回りました。
また、日本を始めとするアジア諸国、ギリシャ、ロシア、アフリカなど世界の美術に影響されたデザインも流行しました。「テーマ研究・装飾」として展示されているマントやコート、チュニックなどは、エキゾチックで斬新な刺繍やプリント装飾が施されています。モードとアートが強く結びついた、この時代の傾向がよく表れています。
<狂乱の時代> は、1929年の世界大恐慌を機に終焉を迎えました。パリが華やかに浮かれた黄金時代の、高揚した空気を感じられるエクスポジションです。
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ガリエラ
庭のほうから建物を見たところ。
美術館入口は反対側
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